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建設業界では近年、「サブスク型サービス」の利用が急速に広がっています。
以前は、工具や重機、ソフトウェアなどを“買い切り”で導入するのが一般的でした。しかし現在では、クラウド型原価管理システム、勤怠管理アプリ、図面共有サービス、チャットツール、オンラインストレージなど、多くのサービスが月額課金制へ移行しています。
便利になる一方で、中小建設会社では「気づけば毎月の固定費が増えていた」というケースも少なくありません。
利益率の低下、人件費高騰、資材価格上昇が続く今、毎月自動的に引き落とされる“見えにくい固定費”を放置することは、経営に大きな影響を与える可能性があります。特に従業員数10〜50人規模の建設会社では、サブスク契約の管理が曖昧になりやすく、「誰が契約したのか分からない」「使っていないサービスが継続されている」といった問題も起きています。
現在、建設業で利用される代表的なサブスク型サービスには、以下のようなものがあります。
・施工管理アプリ
・クラウド会計ソフト
・勤怠管理システム
・安全書類作成サービス
・オンラインストレージ
・ビジネスチャット
・CADソフト
・車両管理システム
・ホームページ管理サービス
・広告配信サービス
これらは業務効率化に大きく貢献する一方、契約数が増えるほど毎月の固定費も膨らみがちではないでしょうか。1つ1つの金額は数千円〜数万円でも、積み重なると年間で数十万円から百万円単位になるケースもあります。
特に注意したいのは、「導入時には必要だったが、現在は使われていないサービス」です。建設業では現場ごとに導入したツールが、そのまま契約継続されることも珍しくありません。
また、退職した従業員のアカウント料金を払い続けていたという事例もあります。
建設業では、材料費や外注費などの変動費に意識が向きがちです。しかし実際には、毎月固定で発生するコストの増加が利益率を圧迫しているケースも多く見られます。
例えば、以下のような状態です。
・毎月のクラウド利用料が把握できていない
・複数サービスの機能が重複している
・無料プランで十分なのに有料契約を継続している
・利用人数以上のライセンスを契約している
・解約方法が分からず放置している
特に中小建設会社では、「現場優先」で管理業務が後回しになりやすいため、固定費管理が属人化しやすい傾向があります。しかし、利益率が数%違うだけで経営状況が大きく変わる建設業において、固定費の見直しは非常に重要です。
仮に毎月5万円の不要コストを削減できれば、年間では60万円になります。これは小規模企業にとって決して小さな金額ではありません。
近年は営業段階で「無料体験」「初月無料」「期間限定割引」を打ち出すサービスが増えています。導入ハードルが低いため、気軽に契約しやすい反面、「導入後の費用対効果」が検証されないまま継続されることがあります。
特に建設業では、以下のようなケースが目立ちます。
・社長だけが使っている高額ツール
・現場ごとに別々のアプリを導入
・似た機能のサービスを重複契約
・担当者退職後も継続利用
・営業提案を断れず契約
また、最近ではAI関連サービスも増加しています。議事録自動化、図面解析、文章生成、画像整理など便利な機能が増える一方、契約が増えすぎると管理が煩雑になります。
本来、IT導入やDXは「利益を残すため」に行なうものです。しかし、管理できていない状態では逆に固定費増加を招きます。導入目的が曖昧なまま契約を増やすことは避けるべきでしょう。
固定費を見直す際に重要なのは、「すべてを削減すること」ではありません。本当に利益に貢献しているサービスを見極めることが重要です。
まず行ないたいのが、“契約の棚卸し”です。
具体的には以下を一覧化します。
・契約サービス名
・月額料金
・年間総額
・利用担当者
・利用頻度
・導入目的
・更新日
・解約条件
これだけでも、不要な契約が見つかるケースがあります。
次に、「代替可能か」を確認します。例えば、施工管理アプリに含まれている機能を、別サービスでも契約していないかを確認することが重要です。
また、無料プランや低価格プランへ変更できるケースもあります。さらに、契約窓口を一本化することも有効です。
誰でも自由に契約できる状態では、固定費が増えやすくなります。「ITツール導入時は必ず社内承認を取る」というルールを作るだけでも、無駄な契約を減らせます。
※画像はイメージです。
一方で、単純にコストを削れば良いわけではありません。例えば、施工管理アプリによって現場移動が減ったり、事務作業時間が短縮されたりする場合は、十分な投資効果があります。
重要なのは、「費用以上の効果が出ているか」です。
例えば、
・残業時間削減
・現場確認回数減少
・書類作成時間短縮
・情報共有速度向上
・採用強化
・離職防止
などに繋がっているなら、継続価値は高いといえます。
逆に、「何となく契約している」状態が最も危険です。
建設業では今後も人手不足や高齢化が進むと予測されています。その中で、IT活用やDXは避けて通れません。だからこそ、“必要な投資”と“不要な固定費”を分けて考える視点が重要になります。
近年、利益を安定して残している建設会社ほど、固定費管理を細かく行なう傾向があります。特に中小企業では、大手企業ほど売上規模でカバーできません。
そのため、「毎月どこにお金が消えているか」を把握することが極めて重要です。資材高騰、人件費上昇、燃料費増加など、外部要因によるコスト増は避けられません。
しかし、自社でコントロール可能な固定費は改善余地があります。毎月の数千円、数万円の積み重ねが、最終的には利益体質の差になります。
今後、建設業界ではさらにクラウド化・DX化が進むと考えられます。だからこそ、「導入する力」だけでなく、「整理・見直しする力」も経営には必要になるでしょう。
建設業でもサブスク型サービスの利用は今後さらに増えていくと考えられます。業務効率化やDX推進に役立つ一方で、管理不足による固定費増加は利益を圧迫する原因になります。
重要なのは、「便利だから導入する」のではなく、「利益に繋がっているか」を定期的に確認することです。
特に中小建設会社では、毎月の固定費を見直すだけでも経営改善に繋がる可能性があります。まずは現在契約しているサービスを一覧化し、“本当に必要なコスト”を見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。
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