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竹内代表がこの業界に飛び込んだのは、23歳のころだ。商業高校を卒業後、最初に就いたのは電化製品の販売職。建設や工業とは全く縁のない世界だった。
「販売はやり尽くしたかな、という気持ちがあって。次のステップを探していた時期でした」
そのタイミングで縁があったのが現在の会社だ。昭和49年に設立されたエレベーター専門の会社で、仕事の内容を知るうちに「やってみても悪くないかな」という気持ちで飛び込んだ。
「全然畑違いではあったんですけど、いけるかなという思いがあって。やってみたらどんどんはまっていった感じですね」
それから約15年、現場の職人として技術を磨き続けた竹内代表は、39歳の時に先代社長から会社を任せられることになった。商業高校で身につけた経営の基礎知識と、長年の現場経験の両輪が、そのまま経営者としての基盤になったという。
※ゲストを温かく迎える木目調のロビー
竹内設備工業の最大の強みは、50年以上にわたる大手エレベーターメーカーとの取引実績と信頼関係にある。霞が関の中央合同庁舎、赤坂プリンスホテル、東京国際空港(羽田)──そうそうたる施設のエレベーターを、この会社の職人たちが据え付けてきた。
「設立当初から付き合ってきたメーカーさんで続けてきたっていうのが、一番大きいと思いますよ。信頼の積み重ねですよね」
他のメーカーから好条件のオファーがあっても、断り続けてきた。「仕事が潤沢に来るか、長期的に安定して取れるか。金額だけじゃない。トータルで見て、今の元受けさんがやっぱり一番なんです」。リーマンショックで業界が冷え込んだ時期も、相談に乗ってもらえる関係があった。その信頼は、一朝一夕には築けないものである。
この仕事には、職人ならではの誇りもある。
「家族でショッピングに行ったとき、自分がつけたエレベーターがあるとわかると、パパがつけたんだよって言えるんですよ。それがやっぱり自慢というかね、またやる気になる」
自分の手がけたエレベーターが、何年も経った後も黙々と社会のインフラを支えている。ものづくりの達成感とはこういうものだ、と竹内代表は言う。
エレベーターの据付工事は、建築業界の中でも高度な技術と安全管理が求められる仕事だ。竹内代表が社員に繰り返し伝えることがある。
「体が一つしかない。怪我につながるようなことに、身を投じてまでやる必要はない。自分の体が資本なんだからね」
安全への意識とともに、社員の生活全体を大切にする姿勢も一貫している。家族のイベントがあれば、仕事よりそちらを優先していい。「楽しく、元気でやってもらうのが一番」という考えが根底にある。
資格取得については会社が全面的に支援する。JIS溶接技能試験、玉掛け技能講習、足場組み立て技能主任者、職長・安全衛生責任者、低圧電気取り扱い特別教育など、エレベーター工事には多種多様な資格が必要になる。費用はすべて会社負担だ。そして取得した資格はあくまで「個人の資格」として本人に帰属する。
「万が一辞めても他の会社でも使えます。自分のキャリアの財産になるんですよ」
現在在籍する従業員は全員が未経験での入社組だ。それが今ではバリバリの親方として現場を率いている。「やる気があればちゃんと育てますよというのが、ずっとやってきたことですから」と竹内代表は言い切る。
※ミニマルなオフィスロビー
竹内代表が今、最も力を入れたいと考えているのが若手の採用だ。社員の平均年齢が上がってきている中、新しい風を入れていきたいという思いは強い。
「若い人をどんどん入れていきたい。若い人がいきいきと中心になってやってもらいたいですね」
将来的には複数のメーカーとの取引を広げ、会社の安定性をさらに高めていきたいとも語る。エレベーターの仕事は、一人ではできない。資材の搬入から据付、安全管理まで、チームワークなしには成立しない現場だ。
「お互いにコミュニケーションを取って、楽しく仕事できる仲間づくりが大事。チームワークがなければ、一つの仕事を成し遂げられないんです」
給与面の待遇も充実している。入社後3年ほどで一人前として現場を回れるようになり、親方レベルになると月55万円以上、ボーナスを含めれば年収700万円を超える社員もいる。未経験でも入社当初から400万円台のスタートが可能だという。
最後に、エレベーターという仕事に興味を持つ人へのメッセージを聞いた。
「自分が据付したエレベーターが、何十年経った今も稼働しているのを見ると、感慨深い。現場でものづくりをしている人は、みんなそういう気持ちがあるから、辛い仕事でも続けていけるんじゃないかと思う。やりがいを持って、やる気を出してやってほしいですね」
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取材を通じて印象的だったのは、竹内社長の「信頼は崩さない」という一貫した姿勢でした。50年という歴史が育んだ元受けとの絆と、未経験者をバリバリの職人に育て上げてきた実績。その両方に、この会社の底力が詰まっていると感じました。