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芦田代表が建設の世界に飛び込んだのは、免許を取得したその直後のことだ。一般的な建設会社への就職というルートを選ばず、最初から一人で仕事を請け負いながら動き始めた。「もう免許取り立て時点で独立しちゃってるんで」という言葉が示すように、最初から自分でやっていくという意志は揺るぎないものだった。
その後、フリーランスとして「芦田総業」の屋号で活動を続け、令和元年の創業時に屋号を「PRIDE」へ改めた。そして令和7年、株式会社PRIDEとして法人化を果たした。「これからの時代、なんとか総業っていうのって硬いなと思って。職人さんをどんどん増やしたいって思った時に集まりづらいかなと思って、横文字を考えた」と話す。
社名に込めた「PRIDE(プライド)」には、「誇りを持って仕事をする」という想いが込められている。「自分の仕事に誇りを持つっていうイメージ」というシンプルかつ力強いメッセージが、会社のすべての根底に流れている。
また、芦田代表が独立に踏み切った背景には、幼少期からの経験も影響している。決して恵まれた環境ではなかったからこそ、「自分の力で稼いでいく」という意志が早くから芽生えた。その想いが、免許取り立てでの独立という大胆な一歩を後押しした。中小建設業にとっても共感できる、自らの手で道を切り開いてきた経営者の原点がそこにある。
株式会社PRIDEの最大の強みは、メンバーの多様な経験と、若さゆえの柔軟なスキル継承サイクルにある。もともと鉄骨鳶・足場鳶からキャリアをスタートさせた芦田代表は、10代の頃からの仲間と共に事業を築いてきた。塗装の親方として入ってきた女性職人から塗装技術を教わり、自らも施工できるようになるなど、「お互いに学び合う」文化が根づいている。
現在の8名のメンバーは、足場・塗装に加え、土木・重機オペレーターの資格を持つ職人も在籍する多能工集団だ。「一人ひとりが、どこかで培ってきた経験やノウハウをうちの会社でしっかりと発揮してもらって、それを次世代やお客さんに還元していけたら」と芦田代表は語る。
資格支援制度も大きな差別化ポイントだ。長期で働いてくれるメンバーには、会社負担で資格を取得させている。車両系建設機械をはじめ、仕事上で必要な資格は積極的に取らせる方針だ。さらに他社では「資格を取らせてもなかなか乗らせない」というケースが多い中、PRIDEでは平均年齢20代のメンバーが実際に現場を担い、経験を積める環境が整っている。「20代でできたんであれば、次から来る20代・10代の子たちも育ててやらせてあげよう」という姿勢が、スキル継承のサイクルを早くしている。
また、代表自身が長年かけて積み上げてきた横のつながりと信頼関係が、安定した受注基盤を支えている。広域での人脈が案件の流入につながっており、仕事の面では一定の土台が整っている。
建設業界全体が直面する深刻な課題のひとつが、職人不足だ。株式会社PRIDEも例外ではなく、現在の最重要テーマは採用にある。千葉営業所の立ち上げを見据えて、今年中に10名の確保を目標に掲げている。「足場経験豊富な職人さんか、これから建設業を始めたいという若い方か、その二極化で見ています」と芦田代表は話す。
さらに、今の業界が抱えるもう一つの壁が資材不足だ。ウクライナ情勢の影響で塗料関連の資材が入手困難な状況が続いており、塗装工事が思うように進められないという苦しい現実がある。「戦争の影響で塗料関係の資材が入ってこないので、塗装の元受けを考えてもやっぱり動けない」という言葉には、世界情勢に翻弄される中小建設業の現実がにじんでいる。
こうした状況を打開するため、PRIDEは足場工事を軸に千葉・市原エリアへの展開を進めている。すでに現地での仕事の目途は立っており、「人さえいれば」という段階まで来ている。芦田代表の関東エリアへの人脈がここでも力を発揮しており、案件の土台は確かなものだ。
また、求人媒体だけに頼らない採用戦略も視野に入れている。これまでの採用活動を通じて、条件面だけでなく会社の文化や成長環境をしっかり伝えることの重要性を芦田代表は感じている。中小建設業の共通課題に対し、自社なりの解を模索し続けている。
芦田代表の長期ビジョンは、100人規模の会社を作ること。直近では千葉営業所を本格稼働させ、資材置き場(ヤード)やトラックも整備して山形と同等の体制を整えていく計画だ。まずは年内に10名を確保し、足場を固める。その先に、大きな組織としてのPRIDEの姿がある。
芦田代表が強調するのは、若い職人への接し方だ。業界での経験を重ねる中で感じてきた課題意識から、「若い子を宝だと思って接している」という姿勢を大切にしている。この姿勢は、週休2日制度(第2・第4土曜休み)や有給取得の推奨など、制度面にも表れている。平均出勤日数は月23日、有給取得率もほぼ100%という数字は、建設業界では異例ともいえる水準だ。
業界に入ってくる若者へのメッセージとして、芦田代表はこう語る。「この業界は体力勝負のイメージがあると思うけど、ちゃんとプライベートを作りながら仕事をして稼ぐことができる。手に職をつけて、誇りを持って生きていく──それがいいなと思っている。若い子にはそれを伝えていますね」
「誇り」を社名に掲げ、自らが体現しながら仲間を育てるPRIDE。26歳(取材当時)という若さで法人化し、山形から千葉へとフィールドを広げるその姿は、建設業の新しい世代のリーダー像を示している。
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取材を通じて印象的だったのは、芦田代表の「若い子を宝だと思っている」という一言でした。制度だけでなく、その言葉の重みが会社全体の空気をつくっているのだと感じた取材でした。