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金子代表が解体業に携わるようになったのは、修行時代の師匠の背中がきっかけだった。「修行してた会社の社長が38歳で独立したっていう話を聞いて、じゃあ38になったら俺も挑戦してみます、って感じで始めてみたら今に至ります」と笑いながら振り返る。
中小建設業にとって独立の決断は大きなリスクを伴う。金子代表も例外ではなく、「自信がなかったので、最初は個人事業で5年やって、続いたら法人化しようと思って。5年続いちゃったから法人化しました」と語る。謙遜まじりにそう語るが、その言葉の裏には、一歩ずつ確かめながら前進してきた堅実さがある。
現在は正規従業員2名、専属外注4名、代表を含めた計7名体制で事業を展開。解体工事をメインに、不動産会社や建設会社からの依頼を受けながら、更地後のブロック積みやフェンス設置といった外構工事も手がけるようになっていった。
「自信持って言えるのが……人柄ですね、ダントツ」。競合他社との差別化を問われた金子代表は、少し照れながらもそう言い切った。
見積もりの場でも、一般のお客さんから「あなたに決めた」と言われることが多いという。「解体屋ってイケイケなイメージが強いじゃないですか。だから接し方は気をつけてますね。かっこいい解体屋よりは、みんなに親しまれやすい解体屋を目指してます」。
具体的に実践していることとして挙げたのが、「常に低姿勢」と「近隣への挨拶と世間話」だ。工事中は周辺への気配りが欠かせない。だからこそ着工前から近隣に顔を出し、声をかけることを習慣にしている。その積み重ねが、地域からの信頼につながっている。
仕事の獲得においても、看板広告や西武バスへの広告掲載など地道な露出を続けてきた。「会社名を誰も知らないなぁと思って、看板やバスに看板を貼ってもらって、みんなの目につけば何かしらなるかなっていう」。一度仕事をしたお客さんからのリピートや紹介が積み重なり、今では不動産会社・建設会社との安定した取引関係が築かれている。
中小建設業が直面する最大の課題の一つが採用難だ。金子代表も「続いて頑張ってくれる人だったらやっぱり欲しい」と話す。数より質を重視する姿勢で、今の規模にあと3名程度、意欲を持って長く働いてくれる仲間を求めている。
採用媒体については、費用対効果を見極めながら取り組んできた。現在は地域密着型の無料掲示板・ジモティーを活用しており、問い合わせの手応えを感じているという。直近では千葉県から通い続けている新人スタッフもおり、「まだ1ヶ月ですけど、無遅刻で来てますね」と目を細める。
熱意のある人材に来てほしいという思いは強く、「続いて頑張ってくれる人に来てほしい。そういう人を大事に育てていきたい」と話す。求人の打ち出し方についても、今の若い世代に響く言葉を研究しながら改善を続けている。
金子代表が描く将来像は、シンプルだがはっきりしている。「狭山市に通った職人さんが、ここは旺馬工業の地域だって思うような。狭山=旺馬工業みたいな」。川越や所沢と違い、狭山市は同業者が比較的少ないエリアだという。狭山市で地域に根ざした存在になるために、今まさに好機と捉えている。その言葉には、この地で一番頼られる解体業者になるという、静かで確かな決意が滲んでいた。
若い世代へのメッセージも印象的だった。「最初は覚えることも多くて、なかなか思うように動けないかもしれない。でも職人という文字通り、手に職をつければ、自分の考えた作業ができて、仕事に喜びと達成感が生まれる。そこまでは踏ん張ってほしい」。
現場で積み上げてきた経験から生まれた言葉だからこそ、重みがある。誠実に仕事と向き合い続けてきた金子代表が目指す「親しまれやすい解体屋」の姿は、地域の人々との関係そのものの中に宿っている。
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取材を通じて感じたのは、金子代表の「低姿勢と挨拶」への一貫したこだわりでした。技術や規模はもちろん、人との接し方で選ばれ続けてきた姿勢は、地域に根ざす中小建設業の原点を改めて教えてくれます。